少し前の出来事から書いていこうと思う。
話は空港まで戻ります。3月1日成田を出てから、11時間。モスクワ経由の飛行機だったので、2時間くらいモスクワで待機していた。僕は長期滞在と移動を考えたとき、スーツケースの足が壊れるのではないかと思い、スーツケースをさらに乗せる折り畳み台車的なもの持って行っていた。
椅子に座っていると、かなりの大荷物のおばあちゃんが隣に座って、
「この飛行機はここで待てばいいの?」って訪ねてきた。
モスクワで周りはヨーロッパ人だらけなのに、なんでアジア人の俺に訪ねるの?!
結構昔から年配の方には気に入られるタイプだったけど、まさか海外でもとは思わなかった。
でも同じ飛行機だったし、分かる英語で助かった。
そのあとも話していると、
「おにいちゃんのそれいいね!」って、例の台車を褒めてくれた。おばあちゃんに台車を貸すと「ありがとう。ありがとう。」って。
それからもおばちゃんの荷物を、座席上のスペースに上げ、着いたら下し、機内ではわざわざお菓子を僕の席まで持ってきてくれて。モスクワーロンドンはほぼおばあちゃんだった。
日本語から離れて、いろんなことが初めてで緊張していたけど、おばあちゃんがほぐしてくれた。見返りが欲しくて接したわけでもない。たった一つのチョコのお菓子がすごく嬉しかった。言葉のすべてが通じるわけじゃないけど、気持ちと気持ちで得たつながり。海外だからここまで深く考えたのかもしれない。それでもすごくココロが温かかった。すごく大事なものの気がする。