この記事はあくまでイギリスに来て、理容室で働く中、感じたことなので、すべての業界がそうとは限りません。
最初の記事と類似したことを書くかもしれませんが、イギリスで初めて勉強させていただいた床屋で、初めに驚いたことは、勉強し始めた初日にオーナーが自分の髪を全体5mmだけカットしてくれと僕に頼んだこと。そして、その日にお客様を1人任せられたことです。
いくら相手の経緯を説明されたとしても、見ず知らずの外国人に自分の髪をいきなり切らせることがでしょうか。そんな相手にお客様を任せることができるでしょうか。頼まれる前に、オーナーの施術を少し見ていたとはいえ、少し見ただけで、理解も会得もできるものではありません。結局見よう見まねで施術し、最後はオーナーにチェックしてもらったのですが、、、
とにかく衝撃でした。日本じゃまずありえないです。日本の美容師はお客様に入るまで、長い年月がかかります。ウィッグという人型の人形とにらめっこを繰り返し、チェックを受けて合格したかと思えば、次は実際にモデルとして、人に接するわけです。それもまた何人もやります。さらに美容はカットだけではありません。ヘアカラー、パーマ、縮毛矯正などいろいろあります。チェックの細かさは会社やお店によって違いはあるにせよ、途方もない感じです’。毎日営業後に残り、夜遅くまで練習する人もいます。
こっちでは居残りして何かをしようという人は皆無です。閉店と同時にお店を出ます。お客さんと一緒に、もしくはお客様より先に店を出るなんて人もいます。こっちでの素人からプロになる経緯を詳しくわ知りませんが、日本と同じことはしないと自信を持って言えます。
そう考えると日本人は真面目です。なんでそんなことしてるの?と疑問視する人も少なくないと思います。
オーナーが僕にお客様を任せてくれたのも、先にやったカットが悪くなかったとか、日本でも少し美容師としてやっていたといことを踏まえた上かもしれませんが、それでもすごいです。先ほども書いた通り、居残り練習という概念がこっちの人にはないので、何か僕に教えているくれるとき、試させるときはすべてお客様の頭です。そんなことに慣れていないので、心では申し訳ございませんと思いながら勉強さていただいていました。ですが、お客様も応援してくださる方がほとんどで、嫌という人に会ったことはありません。むしろ、次は君にカットしてもらうよ!!と言ってくれるほどです。
今は黒人のヘアの特徴である、アフロヘアを勉強しているのですが、今日の営業でも、上司が「見ることはとても大切。でも実際に体験してみるべきだ」と言ってました。やっぱり、こっちでは実践型なのだと思いました。
もちろん基礎がなければ、応用も何も出来ません。ですが、常に相手がお客様という緊張感を持てることと実際の髪、皮膚、頭のカタチ、要望を触れられることはすごい経験値になると思います。緊張感というのは、動画や口でいくら詳しく説明されても理解できるものではありません。実際に経験して分かるものです。僕もイギリスに来てから、メンタルの面で、かなり成長した部分があります。
マネごとは所詮、マネごとにすぎません。美容専門学校で学んだことが実際の現場で、打ちのめされたなんてことはよく耳にします。マネごとの世界は緊張感もなければ、空気感、実際に使用しているものも分かっていないわけです。100回のウィッグ練習より、1回の実践が勉強になることもあります。
実践や現場がすべてである理美容業界だから言えることなのかもしれませんが、常に実践という環境はリスクがありながらも、得られるものは大きいです。だからすべて実践にすべきということを言っているわけではありません。ただ日本とこちらの違いを感じたので記事にしてみました。
しかも僕は基礎重要視派です。