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執筆者の写真Akira Sugawara

FADZZ


 FADZZというのは、僕が2つ目の勉強させていただいた床屋の名前です。1つ目のお店に2ヶ月お世話になり、それからイギリスを1ヶ月観光しに周っていました。観光を終えて、残りの3か月を黒人さんのヘアを勉強したいと考えていました。まず始めに、ブレイドと呼ばれる、編み込みのヘアスタイルやコーンロウやドレッドと呼ばれるヘアスタイルを学びたいと思っていました。そこで隣町にお店を探しに行きました。なかなかお店が見つからず、歩いていると、たまたま通りかかった床屋から、男の人が出てきて、話かけてくれました。

「髪切って行きなよ」

僕は切るつもりはなかったので、お断りしましたが、彼のヘアスタイルがコーンロウであることに興奮してしていまい、彼に自分の事情と状況を説明しました。

すると、彼はお店をわざわざ閉めて、あちこちのお店を紹介してくれました。

その親切さと優しさに感動したことと、彼がいるお店が黒人のメンズが多く通う床屋ということで、僕から彼に勉強させてほしいということを伝えました。彼は即答で、問題ないよ!と言ってくれました。

 彼の愛情にすごく惹かれて、この人から学びたいと思いました。探してるお店のジャンルが変わっていることもあまり気にせず、頼んでいる自分がいました。頼んだ時は、1ヶ月間ということだったのですが、結局2ヶ月弱ほど勉強させてもらいました。

 スタッフはオーナーを含め、6人でした。全員本当にキャラが濃く、面白かったです。日本では考えられないような派手な服装も着こなしますし、身に着けるアクセサリーも違っていて、かっこいいなと毎日思っていました。

 営業スタイルも日本とは全く違います。営業時間が10AM~10PMと長いです。

日本人は働き者と言われますが、この人たちは鉄人なのかと思ってしまいます。開店時はお店を開けた1人だけで、あと誰がいつ来るか分かりません。みんなバラバラに来て、みんなバラバラに帰っていきます。

お客さんがいないスタッフのことを尋ねても、聞かれたスタッフは「知らない」と言って終わりです。でもスタッフによっては、鏡に電話番号が張ってあって、必要な人は電話して呼びだす仕組みです。本当に面白いです。

営業スタイルはスタッフそれぞれに任されている感じです。暇になれば、ご飯を食べに出ていきますし、出て行ったかと思えば、ショッピングの袋をぶら下げて帰ってきます。

営業時間をフルで働いているかと言われればそうではないかもしれませんが、一応10AM~10PMでお店は開いています。カットしてる最中でも、途中で外に出ていって、お客さんを放置します。お客さんの隣で食事もしますし、自分のお客さんがいなければ、隣で他のスタッフのお客さんがいても、昼寝をします。でも、そんなのは当たり前という雰囲気です。お客さんも分かってるので、何も言わないです。でも20分くらい放置されると、「あれ?ちょっと遅くないか?」と周りをキョロキョロする程度です。

日本とはかけ離れ過ぎてて、初めはビックリしました。このブログも思い出し笑いしながら書いています。

 でも1つ確実に言えるのは、みんな楽しそうに仕事しているということです。長時間労働でも毎日お店には顔を出します。もしかしたら、労働とも思ってないのかもしれませんが。

日本人のような働くことに対してのストレスは全く感じないです。自由だからこそ、自分にも余裕を持っています。自分で労働方法を決めて、好きに動いています。だからストレスがないのだと思います。だからこそ、毎日お店に顔を出せるのだと思います。

こういう僕らからしたらぶっ飛んだ仕組みでも、お客さんは理解しているので成立しています。お客さんは人柄と技術にほれ込んで、お店に来ます。何をされようが、その関係性が出来ています。

 こういう全く違う環境にいくと、いろんな刺激を得ることが出来ます。考え方も価値観も全く違う人と過ごすのは、発見がたくさんあります。なので、技術以外でも勉強になったこと、考えた事がたくさんあります。日本に居続けたら、一生分からなかったからかもしれません。

 度肝を抜かれたエピソードは山ほどあるのですが、書き出したらキリがないです。書ききれないです。

 彼があの時話しかけてくれなければ、こんなに学ぶことは出来ませんでした。

本当に感謝しています。

 今の一番の不安は、こっちの感覚に慣れすぎて、日本でお客様に失礼なことをしてしまうのではないか、です。


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