イギリスで6ヶ月間過ごした後、マルタ島という国に向かいました。認知度は少ないのですが、イギリスを出なくてはいけなくなる前にもう少し英語を勉強したいと思い、英語圏であるマルタ島に行くことにしました。マルタ島には3ヵ月間過ごしたのですが、金曜日と土曜日の忙しい曜日だけ、美容室に手伝いに行き、残りは英語を勉強する生活をしていました。
そこで勉強させていただいて美容室が"Impressions Hair & Beauty"というお店です。このお店では女性のお客様がほとんどでした。イギリスではでは床屋で男性のヘアを学んでいたので、マルタでは女性のヘアについて学びたいと思っていました。
基本的には伝手などはありませんので、自分でお店を探し、事情を説明し、身分を証明し、受け入れてもらうという形をとっていました。
新しくお店を探すときはやはり緊張します。その国の人柄や考え方、ルールなど分かりませんのでどういう展開が待っているか想像がつきません。自国の人に聞いても、外人を責任を持って他人に紹介するということは、とても勇気がいることです。そして、お店の良し悪しもその人の価値観です。ですから知らない土地・国・文化に触れる場合、他人の情報はあくまで参考にし、鵜呑みにしないことが健全かと思います。ですので、お店を探すときなどはいつも直観で選びます。「なにかここ良い気がする」内装や外装などもほとんど見ません。中にいるスタッフ・お客さんなど人から良い雰囲気が出ているとき、自然とお店に吸い込まれるように、入って行ってしまいます。そのようにしてお邪魔したお店なのですが、オーナーさん事情を説明したとき、即答で了解してくれました。イギリスの床屋でもそうでした。直観というのは、自分の本能から来るのか分かりませんが、自然と自分に合うモノを選んでくれるのでしょうか。
海外では、このような無茶といえるような行動をして、それを助けてくれる方がいて、成り立っていました。僕は海外に行っただけで、そこからたくさんの人に支えられ1年間を過ごしてきました。マルタ島であったでここのスタッフの方々にも本当に感謝しています。オーナーとは家族ぐるみで、お世話してくださいました。息子さんともサッカーをしに行ったり、家族で寿司食べたり。
毎回お昼には「何か食べる?」と伝統のマルティースブレッドを買ってきてくれて、朝から帰りまで、「コーヒー飲む?」「ケーキ食べる?」「フルーツ食べる?」と常に気にかけてくれて、勉強させてもらってるのにお世話になりっぱなしで、僕が最も大切にしていることを再確認させてくれる空間でした。
マルタ島の美容文化は未だに、シャンプーブローが根付いていて週に一回くるお客様がたくさんおられます。毎週会う方もたくさんいますし、予約の時もわざわざお店に足を運んでくれる方やカットはしないけど、話だけしに立ち寄ってくれた方もいて、ほとんど方々と顔見知りになったかもしれません。お店には笑いが常にあり、愛が溢れ、温かい空気で包まれていました。
ヨーロッパのヘアカラーはメッシュのブリーチとリタッチが全体を占め、ヘアカットはデザインを作るというよりはただ長さを切るという作業にすぎないのかもしれません。文化的にはカットでデザインするのではなく、ヘアアレンジやアップを楽しむということなのかもしれません。日本ではカットでデザインを作ることが主流なので、自然とカット技術が進化し発展していき、外国ではアレンジはやアップの技術が進化・発展していったのだと思いました。
電子機器も電圧が高いので、日本と比べ物にならないほど強力なものもあります。特にドライヤーは風力と温度共に日本の2倍近いエネルギーがありました。
でも外国人の髪は細いですが、キューティクルが厚く、頑丈ですし、くせ毛でウェーブになっている人が多くいます。あの毛をまっすぐにするには、もしかしたら、日本のドライヤーでは大変な作業なのかもしれません。
1つの空間に入ると文化や人や新しい考え方に触れることができ、刺激をたくさんもらうことが出来ます。
教えていただいたこと、考えたことを形にしていくことが遠い地域に住む師匠たち、スタッフたちに対する恩返しだと思っています。