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執筆者の写真Akira Sugawara

恩師


 今月を持って高校の恩師が我が母校を離れることになりました。恩師は僕が高校二年生のの時、赴任してきてサッカー部の顧問になりました。そしてこれまで六年間サッカー部の顧問をしてきて150人近くのサッカー部員をご指導してくださいました。

 初めに高校にいらしたときは、サッカーの”サ”も知らない程のど素人の状態でサッカー部の顧問を任され、大変なことも多かったと思います。ですが先生なりに僕らを考えてくださり行動に移してくれました。監督と選手の間に挟まれながら、仲を取り持ってくださいました。

恩師がいなければ、サッカー部の未来も大きく変わっていたような気がします。サッカーで支えになれないことを分かっていたからか、サッカーではないところで選手を常に考え、気にかけてくださいました。選手全員の心の支えになっていたことは間違いありません。新しい学校ではサッカーに携わることはないみたいですが、きっとスポーツの種類・ジャンルは関係なく、関わる人たちを一人の生徒・一人の人間として見て、支えていくのだと思います。

 海外に行く前も僕の周りで唯一賛成し、背中を強く推してくれた存在でした。帰った後も、もっと長く滞在しろ!と活を入れてくれるほどでした。

 恩師の本当の考えは分かりませんが、彼女は想いを行動に移してくれました。小技・テクニックなどはなく、ただ体当たりでぶつかってきました。そんな姿に僕らも触発され、心動かされたのだと思います。今そんな体当たりでぶつかってくれる方などなかなかいません。ほとんどの人間は口だけは達者で、行動せず、言い訳をし、権力を振りかざす人ばかりかもしれません。口だけが通用するのは学生だけで、大人になれば行動で、結果で自分を証明していくしかありません。それが周りの信用を得て、自分の成長にもつながります。

 想いをぶつけられた者はそれがアザになって消えず残り続けます。そして自然と自分も同じことをしようとする者、いつの間にか同じようなことをしてしまっている者がたくさんいるような気がします。少なからず150人のサッカー部員は恩師の想いをぶつけられ、アザをつけられ、託された者たちです。託された者がまた次の世代に託していくことで、その想いは消えず、むしろ広がり続けるような気がします。

恩師は良循環を作り出しているのかもしれません。

強い想いは人に伝染し、人を変えます。

それはとてもアナログチックですがとてもシンプルで効果的な気がします。

細かいことは気にせず、とにかく想いでぶつかっていくこと。

僕は恩師のような、アナログでシンプルで熱く強い人間になりたい。


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