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執筆者の写真Akira Sugawara

髪職人


 こないだ靴職人のお話を聞きました。彼は同年代で、僕と同じように海外に出て技術を学び、今都内で工房を開き頑張っている方です。お客さんの足を測り、デザインを決め、皮を決め、釘を打ち込む。まさに職人と呼ぶにふさわしいお仕事でした。彼は”修行は質であり、期間の長さや量ではないとおっしゃっていました。彼は2年間、1から師匠の下で学び、日本に戻ってきました。

 美容師も昔は職人のジャンルで活躍していたと思いますが、今はそう呼ばれえることはありません。何が他の職人さんと違うのでしょうか。格好?メンタル?情熱?

はっきりした答えは僕には分かりません。ただはっきり言えることは世間一般の方々が職人という認識はしていないということ。そして技術者として働いている美容師さん自身もそういう認識はしていないこと。職人の方々は一つの仕事に人生をかけて闘っています。意識・メンタル・情熱すべてにおいて、僕ら美容師とは比べ物にならない領域にいるような気がします。海外で職人の方々にお会いしてきて、いろんな刺激を得て、このままではダメだと自分を感化したはずですが、それでもまだまだ足りていませんでした。今の仕事ぶりやメンタル、意識では職人なんてなることも呼ばれることすらありません。

 そもそも美容師が職人なろうとしていることが間違いなのかどうかは知りませんが、僕はそうなりたいです。僕は本来は職人だったと信じています。少なからず、僕が出会ってきた師匠たちは職人でした。

 美容師の定義は様々な方法で”容姿を美しくする者”です。この定義だけこなしていてはどこか自分の目標には届かないような気がします。

意識だけで仕事が大きく変わってくる気がします。美しくする。美しく整える。どこか意識が弱いです。髪型を創造する。美しさを想像する。ただ言い方を変えただけだし、少し意識を変えるだけですが、そんな意識のもと、感覚のもと、メンタルのもと職人を目指していきます。技術者として歩みを止めたとき、思考を止めたときが職人から遠ざかっているとき。お金ではなく、情熱で仕事していきたいです。

美容師ではなく、靴職人ならぬ髪職人などと呼ばれることを夢見て精進していきます。


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